移り香３

昨日の３２４号室。乙女仗助。

承太郎さんの寝顔なんて、なかなか見れるもんじゃない。

でも疲れてるんだな。

眉間には深い皺が寄り、目の下にはくっきりとした濃い隈ができている。

２週間、会わなかった。

その間、一人でがんばってたんッスね。

 

しっかりと自分を抱いて寝息を立てる承太郎の顔を見ていると、

きゅう、と胸がしめつけられて。

起こさないよう、ため息を抑えてその胸に顔を埋めると、

収まりが良くなったのかさらに強く抱きしめられて。

承太郎の香水のスパイシーな柑橘系の匂いと、彼の体温。

たまらない幸福感に酔いしれながら、仗助は目を閉じた。